難易度の捉え方
通関士の難易度は、ただ合格率を表面的に軽く眺めていても本質は見えてきません。
ひと口に通関士の難易度が高いといっても、さまざまなニュアンスがあります。
通関士の難易度・合格率につきまとう要素をこのページで並べてみましょう。
通関士の試験の合格ラインと難易度の関係
通関士の試験には合格ラインがあります。どの年も共通しているのは、3種類ある試験科目について、いずれも6割以上の正解を積み重ねる必要があることです。
受験者としては、全科目で余裕を持つなら7割以上の正解を出すことが目標といえます。
ただし、毎年必ずしも同じだとは限りません。
実は、この合格ラインは試験前にきっちりと発表されるわけではありません。合格発表のときに一緒に発表されると思っていいでしょう。
これはようするに、受験者の出来栄えを見て、合格ラインを最終決定しているのです。
受験者の出来が悪かった年は、合格ラインが部分的に緩和されたことが実際にあります(科目を限定して、合格ラインを6割から5割に下げる、といった方式ですね)。
端的に書くなら、かなり受験者全体の出来栄えがよくないときは、合格ラインを下げてもらえる可能性が高くなるということです。
もっとも、最初から救いの手が差し伸べられることを期待して受験に臨んでもいけませんが。
通関士試験の難易度はコントロールされている
ここまでをまとめると、一般受験者にとって通関士の試験は厳しいものの、国としては一定数の合格者を毎年出したいと思っていて、一般受験者にとって合格のための門戸はいちおう開かれているのです。
難易度が高くなりすぎて合格率が低迷しそうなときに救済が入るのもそのひとつですが、もともと試験問題は、ただ難易度が高いだけではありません
問題に変化をつけるために毎年あちこちが変更され、あちこちが難しくされていますが、まるっきり問題が入れ替わってしまうことは実はまったくありません(もしそんなことをすると、受験者の出来栄えはひどく悪くなってしまうでしょう)。
地道にそれまでの試験をよく参考にしてきた受験者が合格しやすくなるように意図されているのです。
通関士の難易度が証明しているのは、「前年までの試験問題によく目を通す勉強をしてきた受験者に門戸が開かれている」ということでしょう。
それだったら、通関士のことを何も知らなかった人でも真似できることです。
ここまでの流れを踏まえて、次のページに進んでください。